集成材と無垢材の違い、構造材にはどっちがいいの?

プロが考える“どちらにも理由がある”という話
こんにちは。一級建築士として家づくりに携わる中で、よくご相談いただくテーマのひとつに「構造材の種類」があります。
「うちは無垢材にしたほうがいいですか?それとも集成材ですか?」
確かに、どちらも“木”であることには変わりませんが、性質や扱い方には大きな違いがあります。
今日は、設計・現場・長期的な目線のすべてを踏まえて、無垢と集成、どちらがより安心なのか?を考えてみたいと思います。
最初にお伝えしておくと、どちらが“絶対に良い”というものではありません。
大切なのは、それぞれの特性を知ったうえで「暮らしに合った方を選ぶ」ことだと思っています。
■ 無垢材の魅力と注意点

まず無垢材。木そのものを丸ごと使った素材で、古くから日本の家づくりに使われてきました。
◎ 無垢材の良さ
- 自然素材ならではの風合い、香り、温かみ
- 地元の木を使えるという地域性やストーリー
- 「長持ちする木の家に住みたい」という方にとっては魅力的な選択肢
△ 注意したい点
- 乾燥状態にばらつきがあると、反りや割れが出ることも
- 木ごとに強度差があるため、構造計算が難しい場合も
- 安定するまでに時間がかかり、施工後に動くリスクもゼロではありません
木の個性を“楽しめる人”には無垢材はとても合います。ですが、施工精度や後々のメンテナンス性を重視する場合には、少し計画的に選んでいく必要があります。
■ 集成材の特徴とメリット

次に集成材。複数の板材を乾燥・接着してつくられた構造用木材です。
◎ 集成材の強み
- 含水率や寸法が安定しており、施工誤差が出にくい
- 節や割れが少なく、長期的に強度を維持しやすい
- 工業的に強度試験がされており、品質のバラつきが少ない
最近の家づくりでは、多くの住宅メーカーや工務店が主要構造材に集成材を採用しています。
実際に、私が設計する際にも「ここは安定性が大切」と判断する場面では、集成材を選ぶことが多いです。
△ 一方で
接着剤の使用が気になる方もいる(現在はF☆☆☆☆等の安全基準をクリアしたものがほとんどです)
「木の質感」や「経年変化を楽しみたい」という方には、少し“整いすぎている”と感じることも
■ 大事なのは「どこに、どう使うか」

無垢材が“自然そのままの木”だとすれば、
集成材は“木の特性を活かしながら安定させた材料”。
どちらが優れているというよりも、「家のどこに、何を目的に使うか」で選ぶことが重要です。
たとえばこんな使い分けもあります:
- 柱や梁など主要構造部 → 集成材で安定性を重視
- 化粧梁や見せる部分 → 無垢材で素材感を演出
すべてを無垢にしようとすると価格が上がることもあるので、
「こだわる部分」と「安定させる部分」のバランスをとるのが、現実的な選び方です。
■ まとめ:「安心して暮らせる構造」が最優先
無垢材も、集成材も、それぞれに良さがあります。
だからこそ「自然だから良い」「工業製品だから安心」といった一面的な見方ではなく、
家全体の設計・性能・コスト・暮らし方との相性で選ぶのが、建築士としての答えです。
私自身は、構造の安定性・品質の均一性という点から、今の家づくりには集成材の方が合っている場面が多いと感じています。
でも、それが“万人にとっての正解”だとは思っていません。
最終的には、家族がどんな価値を大事にしたいか。
そこを一緒に考えながら、構造材も“納得して選べる”家づくりをしていきたいですね。
