堺市堺区I様の家_02|3方を建物に囲まれた中でどのように採光をとるか

前回のブログでは、I様との出会いから土地探しまでについてお話ししました。
今回は、I様邸の計画で大切なポイントになった「光の取り込み方」についてお話ししたいと思います。
今回の敷地は、北側が道路に面している土地でした。西側にはすでにマンションが建っていて、南側と東側は当時まだ更地の状態。これから家が建つことは分かっていましたが、どのような家が建つかまでは分からないという状況でした。

敷地の形や周辺の状況から考えると、南側と東側には、将来的にぎりぎりまで建物が建つ可能性が高そうでした。
そのため、南や東からの光に頼りすぎる計画にしてしまうと、あとから隣に家が建ったときに思ったより暗くなってしまう可能性があります。
北側は6m道路に面しているので、北側から光を取り込む方法も検討しました。
ただ、敷地の間口や間取りのバランスを考えると、北側にLDKを持ってくるのは少し難しい状況でした。
そこで今回は、リビングを南側に配置し、大きな吹き抜けをつくる計画にしました。吹き抜けの上部にFIX窓を設けることで、高い位置からしっかり光を取り込むことを考えました。

高い位置から入る光は、隣の建物の影響を受けにくく、リビングの奥までやわらかく広がってくれます。
家族が集まるリビングで、日中も自然な明るさを感じながら過ごせるようにすることを大切にしました。
また、北側から入る光もできるだけリビングまで届くように、建具の一部をガラスにしたり、対面キッチンの垂れ壁をなくしたりしながら、家全体に光が抜けるように計画しています。

ただ明るくするだけではなく、キッチンに立っているとき、ダイニングで食事をしているとき、リビングでくつろいでいるとき、どこにいても家族の気配や自然な明るさを感じられるように意識しました。
さらに、今回の敷地では西側からの光も大切なポイントになりました。
一般的には、西側の窓は西日がきつくなりやすいため、大きな窓を積極的に取らないことも多いです。ただ、I様邸の場合は西側にマンションが建っているため、西日が直接入りにくい条件でした。
さらに、そのマンションの外壁が白っぽい色だったため、外壁に反射したやわらかい光を室内に取り込めるのではないかと考えました。そこでRevitを使ってシミュレーションを行いながら、西側からの光の入り方も確認していきました。

採光というと、周りの建物の高さに目がいきがちです。もちろん高さも大切ですが、実は周りの建物の外壁の色もかなり影響します。白っぽい外壁であれば光を反射しやすく、反対に黒っぽい外壁であれば光を吸収しやすくなります。
東側と南側については、どのような家が建つか分からなかったため、その面からの光に強く頼りすぎないように計画しました。実際に、後から東側に建った家は黒っぽい外壁だったので、この判断は良かったと思います。
一方で、南側については、吹き抜け上部の高い位置に設けた窓から光が入ることをシミュレーションで確認できていました。隣の建物の外壁の色に左右されにくい位置から光を取り込めるため、この部分は安心して計画を進めることができました。
3方を建物に囲まれる可能性がある土地でも、どこから光を入れるのか、どの方向の光に頼りすぎないようにするのかを丁寧に考えることで、明るく心地よい空間をつくることはできます。
今回のI様邸でも、家族が自然とリビングに集まり、食事をしたり、野球を見たり、会話をしたりする時間が心地よくなるように、光の入り方を一つひとつ確認しながら計画を進めました。
